事例紹介
都内のIT企業に勤務する佐藤健一さん(50歳・仮名)は、5年前に妻(当時)と合わせて世帯年収約1,500万円を背景に、都内近郊に7,000万円の新築戸建てを購入。
夫婦それぞれが3,500万円ずつ借り入れる「ペアローン」を組み、変動金利・35年返済で月々約20万円を返済していた。
その後、子どもをめぐる価値観の相違から夫婦関係が悪化し、妻から離婚を切り出される。
売却を試みたが、査定額は約5,500万円と購入額を大きく下回り、ローン残高(二人合計で6,000万円以上)に届かない「オーバーローン」状態に。
現在も一人でその家に住み続け、住居関連の支出は毎月30万円近くにのぼり、手取りの半分以上が家のために消えている。
住宅金融支援機構の2026年1月の調査によると、住宅ローン利用者のうちペアローン利用者は24.1%、収入合算利用者は14.6%と、4割弱の世帯が夫婦2馬力でマイホームを購入している。
20代では56.6%に達する。
一方、厚生労働省の統計では年間離婚件数は約18万6,000組にのぼり、35年という長期ローンの完済までの間、家族の形態が変わらない保証はない。
新築戸建ては購入直後から建物価値が大きく下落する傾向があり、数年で離婚した場合にオーバーローンとなるリスクが高い。
その場合、不足分を現金で補えなければ通常の売却は不可能となり、競売や任意売却といった信用情報を傷つける選択肢しか残らない。
結論
かつて「資産」と見なされていた持ち家が、ライフスタイルの変化によって個人の再起を奪う「負債」へと変貌しうる。
不動産選びでは利便性や広さだけでなく、「いつでも損なく手放せるか」という出口戦略の視点が不可欠だと指摘している。