日銀の金利正常化と構造的な問題
日銀は長年続けてきたゼロ・マイナス金利政策を2024年から終わらせる方向へ動き始め、2025年末には政策金利を0.75%まで引き上げた。
これは30年ぶりの高水準であり、10年物国債利回りもすでに2.3%程度に達している。
この金利正常化は数ヵ月で終わる出来事ではなく、数年から十年単位で進む構造的な転換だと筆者は強調する。
日本の住宅ローンの脆弱性
日本の住宅ローンの約8割は変動金利型で、30年固定が標準のアメリカとは真逆の構造。
変動金利を選んだ借り手は金利変動リスクをほぼ丸ごと自分で抱えており、長年の超低金利時代にはそれが合理的な選択だったが、今やその前提が崩れ始めている。
金利上昇が続く理由は「日本の外」にある
中東の紛争による原油高止まりや米国の輸入インフレ再燃により、FRBが再利上げに動く可能性もある。
米金利が高止まりすれば円安が進み、日本では輸入インフレが再燃し、日銀はさらなる利上げを迫られるという連鎖が続く。
「5年ルール」「125%ルール」の限界
金利が上がっても返済額を5年間据え置く「5年ルール」と、5年後の返済額増加を125%以内に抑える「125%ルール」が短期的な衝撃をやわらげる。
しかし水面下では利息負担が静かに積み上がり、5年ごとのリセットのたびに新しい金利水準が反映され続けるため、一度の調整では終わらない。
固定金利への借り換えを検討すべき時期
現在、フラット35は1.9%前後での借り入れが可能で、アメリカの6%超の30年固定と比べれば依然として低い。
しかし国債利回りの上昇に伴い、この「窓」は閉じつつある。実際、フラット35への申請者数は前年同期比50%増となっており、賢明な借り手はすでに動き始めている。
固定金利への借り換えはコストを伴うが、それは「保険料」のようなもの。保険の本質は最悪のシナリオを回避することにある、と筆者は述べる。
投資家への示唆
日銀は「政策金利を上げれば内需が萎む」「上げなければ円安・インフレが再燃する」という古典的な三重苦に直面しており、どちらに転んでも庶民の生活コストは押し上げられる。
投資家としては、金利上昇で逆風を受ける小売・外食・住宅関連セクターと、利ざや改善で恩恵を受ける地方銀行など金融セクターの動向に注目すべきだとしている。